私が「砂川判決現象」と呼んでいることがある
少し前、「集団的自衛権は最高裁判決で認められている」との言説が出回った
なんだかよくわからない理屈、「なぞ理論」の一種と思う
この最高裁判決は、有名な「砂川事件判決」といわれるものだが
そもそも、その判決はそんな読み方をするものではないので驚いた
だって駐留アメリカ軍の合憲性に関する判決だからね
このような言説は、いわば詐欺的手法ではないかと思う
消火器訪問販売で「消防署のほうから来ました」ってやつ
消防署を引き合いに出し消火器を売りつける、手口のこと
なお、当時話が大きくなったので、日弁連の声明が詳しい
「砂川事件判決を集団的自衛権の根拠とすることに反対する会長声明」
2014年05月02日 東京弁護士会 会長 髙中 正彦
2014年05月02日 東京弁護士会 会長 髙中 正彦
https://www.toben.or.jp/message/seimei/post-357.html
最近、武蔵野市の住民投票条例のニュースの中に産経の記事にふれた
かなりおもしろい主張>外国人の住民投票 武蔵野市は国益損なうな 2021/12/6 05:00
https://www.sankei.com/article/20211206-EJE2IIJL5RMNDNKWKUB2TUXGEA/
記事には、「昭和53年の最高裁判決では、
政治的な意思決定や実施に影響を及ぼすような政治的活動を外国人に認めていない。
憲法は参政権を日本国民固有の権利としている。
‥外国人参政権ともいえる今回の条例案は違憲の疑いがあるとの指摘がある。」
とある
最高裁判決を引き合いに出している
消防署を引き合いに出しているのと同じ
「昭和53年の最高裁判決」で思いつくのは有名な「マクリーン事件判決」
これは外国人の政治活動の自由に関するものなのでここで挙げるのは適切ではない
外国人の住民投票権は、「地方参政権」に近いものと理解するのであるなら
ここでは「平成7年2月28日最高裁判決」を紹介してほしいところ
一般にこの判決は、外国人の地方参政権を憲法上禁じられていないとしたもの
つまり、法律(条例)で認めれば憲法上問題ない(違憲でない)としたのだ
それが最高裁判決に認められたものと理解するのが一般的なので
記事の「違憲の疑いがあるとの指摘」は、最高裁判決に反対だということになる
誰が「指摘」してるのかしっかり書いてほしい(消防署ではないね)
最高裁判決(消防署)を引き合いに、条例は違憲の疑い(消火器)を押し売り
消防署と消火器は無関係
世話人 記